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オペレーショナルアプリケーションとは?

Palantir では、ワークフローやアプリケーションを「オペレーショナル」と表現することがよくあります。オペレーショナルアプリケーションとは、組織の意思決定を改善するために設計されたユーザーインターフェースです。従来のダッシュボードやレポートは、読み取り専用の情報を提供するだけにとどまります。一方、オペレーショナルアプリケーションは、その情報にシミュレーションとアクションを組み合わせることで、人間のユーザーが容易に最適な意思決定を行えるようにします。

一般に、意思決定を促すワークフローは、情報を提示するだけのワークフローよりも、ユーザーに受け入れられ、組織の成果向上につながる可能性がはるかに高くなります。以下のガイドでは、アプリケーションをオペレーショナルにする要素と、Foundry のアプリケーション構築機能を使って実際に作成する方法を説明します。

アプリケーションが機密データを使用する場合や、重大な影響を伴う意思決定を支援する場合は、プライバシーと市民的自由への配慮を設計に組み込んでください。プライバシーに関するベストプラクティスは、情報を明示された目的に必要な範囲に限定し、重要な自動アクションや AI 支援によるアクションに、責任の所在が明確なレビューの機会を設けることです。プライバシーと市民的自由の実践では、こうした判断を Foundry の機能に対応付けています。

ダッシュボードのその先へ:アイデアをオペレーショナルアプリケーションに発展させる

アプリケーションのアイデアの多くは、グラフ、集計テーブル、チームが定期的に確認するレポートなど、読み取り専用のものから始まります。これは有用な出発点ですが、最も価値のあるステップはユーザーに委ねられています。ユーザーは情報を解釈し、何をすべきかを判断したうえで、別のツールを使って行動しなければなりません。オペレーショナルアプリケーションは、この隔たりを埋めます。以下のステップに沿って進めることで、読み取り専用のアイデアのほとんどを発展させることができます。

1. 画面ではなく意思決定から始める

何かを作り始める前に、アプリケーションがどのような意思決定を支援するために存在するのかを明確にします。ユーザーは何を選択するためにそのアプリケーションを使うのか、適切に選択するにはどのような情報が必要なのか、そして行動方針を決定した後に何が起こるのかを問いかけます。意思決定を軸に据えることで、アプリケーションを組織の成果に集中させ、その後の設計上の選択を明確にできます。

2. 適切な情報を適切なタイミングで提示する

意思決定の内容が分かったら、その判断にユーザーが必要とする情報を特定します。オペレーショナルアプリケーションはオントロジーからリアルタイムに読み取るため、古いスナップショットではなく、意思決定への対応が必要になった時点の現状を提示できます。意思決定に関係するオブジェクト、リンク、プロパティと、行動に必要なコンテキストだけを表示し、それ以外の情報は含めません。このように焦点を絞ることで、ソースシステムの内容をすべて、情報が密集した操作しにくいインターフェースに表示するのではなく、アプリケーションに明確な目的を持たせることができます。

3. 意思決定を確定する前に影響を検証する

真のオペレーショナルアプリケーションは、意思決定の機会を提示するだけではありません。ユーザーは、その決定を確定する前に、決定によって生じる結果を探索できます。シナリオを使うと、ユーザーはオントロジーを分岐させ、1つ以上のアクションを適用し、稼働中のシステムに何も書き戻すことなく、選択肢ごとに状況がどう変わるかを確認できます。シナリオにモデルを組み込むと、シミュレーションによって下流への複雑な影響を予測でき、ユーザーはトレードオフを検討して、競合する行動計画を比較できます。人間の専門知識を高品質なデータと厳密なモデリングに組み合わせるこのアプローチは、直感や未検証の仮定だけに基づいて行動するよりも、組織にとってより良い成果をもたらすことができます。

4. 情報を行動に変える

オペレーショナルアプリケーションを特徴付ける機能は、ユーザーが別のツールではなく、同じアプリケーション内でビジネス上の重要な意思決定を行えることです。オントロジーでは、アクションが、これを可能にするガバナンスの適用された仕組みです。アクションは、ユーザーが意思決定をシステムに書き戻す方法を定義します。アクションの実行条件により、オントロジーの変更が組織のルールに従う場合にのみ行われることが保証されます。この枠組みによって、ユーザーは複数のインターフェースを行き来する手間をかけずに、意思決定に至ったその場で行動に移せます。

5. ループを閉じる

ユーザーが Foundry でアクションを実行すると、その意思決定はオントロジーにアトミックな変更として確定され、他のアプリケーションにも即座に反映されて、他のすべてのユーザーに共有されます。1人のユーザーの意思決定が、個人のスプレッドシートやメールのスレッドに孤立することはありません。その意思決定は、他の全ユーザーが自分の意思決定に使う、共有されたリアルタイムの現状のビューに即座に組み込まれます。これは、意思決定の価値を部門のサイロに閉じ込めるのではなく、時間とともに組織全体で積み重ねていく、オントロジーの仕組みの1つです。

ユーザーがオントロジーのアクションを通じて意思決定を行うと、下流への効果を引き起こすこともできます。

  • 副次的効果は、メールなどで通知を送信したり、外部システムでイベントをトリガーしたりできます。たとえば、Webhookを使うと、アクションから外部 API や他の Foundry API を呼び出せるため、Foundry に記録された意思決定によって、正式な記録を管理するシステムを更新したり、プラットフォームの外部にメッセージを投稿したり、別のプロセスを開始したりできます。
  • 関数ベースのアクションでは、コードを使ってオブジェクトをどのように変更するかを決定し、任意の複雑さのアクションタイプを定義できます。そのロジックは、サーバーレス関数としても、Compute Module としても実行できます。
  • スケジュールビルドのトリガーにより、ユーザーはデータ統合のビルドを開始できます。
  • Automate は、記録された意思決定を継続的なビジネスの自動化につなげます。条件を継続的またはスケジュールに従って確認し、条件が満たされると効果を自動的に実行します。さらに、Autopilot は、これらの自動化ワークフローを大規模に可視化、監視、トラブルシューティングするためのコントロールセンターをチームに提供します。
  • アクションは、エージェントをトリガーして後続の作業を実行させたり、エージェントが提案した変更を適用する前に、人による承認に回したりできます。詳しくは、後述のエージェントでループを拡張するで説明します。
  • アクションログは、すべてのアクションの実行をオントロジー内のオブジェクトタイプとして記録し、意思決定とその根拠の履歴を、分析、監査、他の意思決定ワークフローへの入力に使えるデータに変えます。

オントロジーにより、オペレーショナルアプリケーションにおける意思決定は、下流のプロセスをトリガーし、組織の選択について永続的で監査可能な記録を作成する、強力な起点になります。意思決定そのものがオントロジーの一部になると、将来の選択に役立てることができ、より良い成果を生み出し続ける循環へと積み重なっていきます。

実際の業務における例

自動車組立工場に部品をジャストインタイムで納入する企業の物流コーディネーターを考えてみます。この業務では、配送が1件遅れるだけで生産ラインが停止し、高額な違約金が発生する可能性があります。変速機部品の配送が運送会社の車両故障で遅れ、工場の納入時間枠に間に合わないおそれが生じています。

従来のダッシュボードの場合

  • ダッシュボードは該当の配送にフラグを付けますが、コーディネーターはダッシュボードを離れ、状況を手作業で把握しなければなりません。承認済み運送会社のスプレッドシート、輸送余力を問い合わせるメール、顧客の納入時間枠と違約金条項を確認する別のシステム、記憶を頼りに見積もった輸送時間を突き合わせます。
  • 時間に追われ、情報も不完全な中で、電話でのやり取りから妥当と思われる運送会社を手配します。
  • その意思決定はほかの人が確認できる場所に残りません。計画チームはルート変更を知らず、顧客にも通知されず、1時間後には同僚が同じ調査を最初からやり直します。
  • 何も記録されないため、判断の根拠は失われ、監査も、そこから学ぶこともできません。明日のプロセスも昨日とまったく同じままです。

オペレーショナルアプリケーションの場合

  • アプリケーションを開くと意思決定そのものが中心に表示され、それに必要な情報だけがオントロジーからリアルタイムで提示されます。積載されている部品、納入時間枠と違約金条項、現在の運送会社に加え、代替となる運送会社のリアルタイムの輸送余力、費用、定時納入実績を確認できます。
  • コーディネーターは運送会社の候補ごとにシナリオをシミュレーションします。モデルが到着時刻、費用、定時納入の確率、ほかの配送への波及効果を予測し、コーディネーターは総合的に最良の結果となる選択肢を確定します。
  • アプリケーションを離れることなく、1回のアクションで運送会社の再割り当て、オントロジーへの意思決定の記録、顧客への通知、計画パイプラインの更新が一度に行われます。
  • 並列でプロセスを進めている全ユーザーは、それぞれのアプリケーションですぐに変更を確認できます。カスタマーサービスは更新された到着予定とその理由を把握し、財務は新しい費用と回避できた違約金を把握し、工場の計画担当者は生産スケジュールを調整します。誰かに通知する必要はありませんでした。
  • すべての意思決定とその根拠が、永続的で監査可能なデータになります。チームは各シナリオで期待される結果と実際に起きたことを比較し、その差を縮められるため、1つの意思決定が次の意思決定の改善につながります。

エージェントでループを拡張する

自動化されたエージェント型プロセスを開発するほど、オペレーショナルアプリケーションの重要性は高まります。AI エージェントをワークフローに導入しても、意思決定のループが置き換わるわけではありません。人間のユーザーが、より広い意思決定領域にわたって業務を進められるようになります。ユーザーは、人間ならではの繊細な専門的判断が必要となる重要な局面で判断を下し、エージェントやエージェントスウォーム(並列で動作するエージェントのグループ)に大局的な方向性を示して、自動化できる定型業務を任せます。この枠組みでも、オペレーショナルアプリケーションは不可欠です。エージェント型プロセスに委任した作業を人間のユーザーが確認し、方向づけ、承認するインターフェースとして機能し、最も重要な意思決定に対する人間の責任を維持します。

AIP Logic と Automate でオペレーショナルアプリケーションを拡張する際は、どのオントロジーアクションを自動実行でき、どのアクションを人によるレビューのためにステージングする必要があるかを決めます。指定された承認には Approvals を使用し、重大な影響を伴うアクションを進める前に目的を記録するには Checkpoint を使用します。こうした制御がなければ、人が影響を評価する前に、誤った提案によって業務データが変更されるおそれがあります。これらのレビューポイントを設計する際は、プライバシーと市民的自由の実践を確認してください。

物流の例に戻りましょう。過去の意思決定の記録が蓄積されることで、このワークフローにエージェントを導入する準備が整います。

  • 記録には定量的な結果とコーディネーターの定性的な判断根拠の両方が含まれるため、エージェントは再割り当ての一部を自ら引き受けられます。
  • コーディネーターは、エージェントに任せてよい業務の基準を設定します。たとえば、利用実績の多いルートでの低価格の貨物の配送で、費用、到着時刻、定時納入の確率において、1社の運送会社が明らかに優れている場合です。判断が曖昧な案件や重大な影響を伴う案件は、すべて人にエスカレーションされます。
  • コーディネーターは、すべての再割り当てを自分で行う役割から、自動化された再割り当てを監督する役割へと移ります。同じアプリケーションを使ってパフォーマンスを監視し、ドリフトに注意を払い、ガードレールを調整します。
  • 経験と判断に依存し、状況を深く理解する必要がある難しいルート変更の意思決定は、引き続きコーディネーター自身が担当し、その記録も蓄積され続けます。

作成したものがオペレーショナルアプリケーションではなくダッシュボードである兆候

ユーザーインターフェースがオペレーショナルアプリケーションかどうかを評価するには、次の点を確認します。

  • 意思決定が明示されていない: アプリケーションでユーザーが下す具体的な意思決定を説明できなければ、それはまだ情報提供用のダッシュボードである可能性が高いです。
  • 何も書き戻されない: アプリケーションがデータを読み取るだけで意思決定を一切記録しない場合、時間とともに価値を積み重ねることはできません。オントロジーを現実世界の表現としてではなく、従来のデータベースのように使っていることになります。
  • ユーザーが別の場所で行動しなければならない: ユーザーがアプリケーションから情報を収集しても、意思決定を実行に移すために別のシステムを使う必要があるなら、そのアプリケーションはオペレーショナルではありません。
  • 代替案を比較できない: ユーザーが決定を確定する前に、異なるシナリオをシミュレーションし、異なる意思決定のトレードオフを比較検討できなければ、そのアプリケーションは十分な見通しのないまま意思決定を強いることになります。
  • 意思決定がローカルにとどまる: 記録された意思決定が、同じデータを扱う全ユーザーに反映されなければ、チーム間の足並みが揃わなくなり、その意思決定の価値を積み重ねることはできません。

Foundry でオペレーショナルアプリケーションを構築する

Foundry は、ノーコードの選択肢から完全にカスタムのプロセスまで、オペレーショナルアプリケーションを構築するためのさまざまなツールを提供しています。

  • Workshop:オブジェクト指向のオペレーショナルアプリケーションを構築するための主要なノーコードツールです。インタラクティブなレイアウト、イベント、意思決定をオントロジーに書き戻すウィジェットを備えています。
  • オントロジー SDK React アプリケーション:オントロジー SDK を活用した完全にカスタムの React インターフェースで、Foundry の組み込みツールでは実現できない独自のエクスペリエンスを実現します。Pilot は、自然言語のプロンプトからこれらのオントロジー SDK アプリケーションを構築する、AI を活用した効率的な方法です。
  • カスタムウィジェット:独立したアプリケーションを構築せずに、独自の可視化など、専用のフロントエンド React コードで Workshop を拡張できます。Workshop モジュール内に全ページ表示のカスタムウィジェットを1個埋め込むことで、両方のツールの機能を活用できます。Pilot でウィジェットを構築することもできます。
  • Slate:オントロジーデータ上で HTML と JavaScript を使い、カスタムアプリケーションやダッシュボードを構築するためのビルダーです。
  • Code Workspaces アプリケーション:使い慣れた IDE で構築し、Foundry 上で公開する、インタラクティブな Streamlit、Dash、Shiny® アプリケーションです。
  • REST API:Foundry のフレームワークをまったく使わずに、オントロジーを利用するアプリケーションを構築できます。

まずは Workshop でシンプルなアプリケーションを構築して、オントロジーを使ったアプリケーション構築の原則に慣れるところからはじめましょう。